文:YAGINUMA

AIによる肌レタッチとは

アプリや生成AIを使えば、ワンタップで肌のなめらかさや色むらを整えられるようになりました。手軽で速い一方、仕上がりを見て「なんだか本人らしくない」と感じることがあります。

肌が整うこと自体は悪くありません。ただ、整えすぎた人物写真は、かえって違和感や不信感を生むことがあります。企業の採用サイトや会社案内、役員のプロフィール写真では特に、本人らしさと信頼感が大切です。

AIの肌レタッチで起きやすいこと

AIに肌の補正を任せると、次のような仕上がりになりやすい傾向があります。

  • 毛穴やキメが消える:陶器やプラスチックのような質感になる
  • 陰影が平坦になる:頬や額の立体感が失われ、のっぺりして見える
  • 顔が変わる:目の大きさや形、輪郭、鼻や口まわりなどが、気づかない程度に変化することがある。肌だけを整えたつもりでも、顔つきそのものが変わってしまう
  • 本人らしさが薄れる:表情のクセや顔立ちの個性まで整えられ、本人だと気づきにくくなる
  • 肌だけが浮く:目、髪、服の質感はそのままなので、顔だけ加工したように見える

一つひとつは小さな変化でも、重なると「加工された人物写真」という印象が前に出てしまいます。特に顔が変わってしまうと、社員や役員の写真としては使いづらくなります。

なぜ「綺麗になりすぎる」のか

AIは、多くの画像から学んだ「綺麗な肌」の傾向に近づけるように処理します。そのため、年齢や特徴、写真の使い道にかかわらず、平均的に整った肌へ寄せていく傾向があります。

特に生成AIを使った補正では、画像の一部だけを直すのではなく、全体を描き直すような処理になることがあります。そのため、肌以外の部分まで変わってしまうことがあります。

AIは「統計」で、レタッチは「意図」で仕上げます。AIには「ここで止める」という意図がないため、どこまで整えるかの加減が苦手です。

人が判断していること

レタッチャーは、肌を「消す」のではなく「整える」作業をしています。

1. 取るものと残すものを分ける

ニキビ、一時的な赤み、傷、ほこりなどは整えます。一方で、その人の顔立ちをつくるキメやシワ、ほくろなどは、ご希望を踏まえて残すかどうかを判断します。

2. 毛穴やキメは「減らす」までにとどめる

完全に消すと、肌ではなくなってしまいます。目立つ部分だけを弱め、人の肌として自然に見える質感を残します。

3. 部位ごとに強さを変える

頬、額、目元、首では、補正してよい強さが違います。顔全体に同じ処理をかけず、部分ごとに調整します。

4. 顔以外との釣り合いを見る

首や手の肌トーン、髪や衣服の質感との釣り合いも確認します。顔だけ綺麗でも、全体が不自然では意味がありません。

5. 引いても拡大しても自然か確認する

Webで小さく表示される写真と、印刷や大きな掲載では、見え方が変わります。使用される場面を想定して仕上げます。

AI自動補正と人の手によるレタッチの比較

AI自動補正

人の手によるレタッチ

毛穴・キメ

△ 消えやすい

◎ 残しつつ弱める

陰影・立体感

△ 平坦になりやすい

◎ 保ったまま整える

顔立ち

△ 変わることがある

◎ 変えずに仕上げる

部位ごとの調整

△ 一律になりやすい

◎ 部位ごとに調整

本人らしさ

△ 薄れることがある

◎ 残す

制作スピード

◎ 最速

〇 標準

向いている用途

SNS・簡易的な補正

採用サイト・役員写真・会社案内・広告

用途によって「ちょうどいい」は変わる

同じ人物写真でも、正解は用途で変わります。

  • 採用サイトや会社案内の社員写真:親しみやすさと清潔感。本人だとすぐにわかることが大切
  • 役員・代表のプロフィール写真:信頼感と誠実さ。整えすぎず、人柄が伝わる自然さを優先
  • 広告やビジュアル用途:表現として、美しさを強める場合もある

「どこまで整えるか」の基準は、写真を使う目的によって決まります。

まとめ

AIによる肌レタッチは、速く手軽な反面、毛穴やキメまで消して「綺麗になりすぎる」傾向があります。さらに、顔つきまで変わってしまうことがあり、その人らしさや信頼感を損なう場合があります。大切なのは、どこまで整えて、どこで止めるかを判断することです。

RETOUCH STUDIO SANKAKUYANEでは、AIも活用しながら、最終的な仕上がりは人の判断で決めています。人物写真の仕上がりでお悩みの際は、お気軽にご相談ください。


よくある質問

Q. AIで肌を補正するのは良くないのですか? 良くないわけではありません。手軽で速いというメリットがあります。ただし、仕上がりが自然かどうかの確認が大切です。使用する場面に合わせて、必要であれば人の手で調整します。

Q. AIで補正したら顔が変わってしまいました。元に近づけられますか? ご相談ください。元の写真がある場合は、そちらを参考に、顔立ちの違和感を整える方向で対応します。仕上がりの度合いは、状態によって異なります。

Q. シワやほくろも消してもらえますか? 対応可能です。ただし、消しすぎると本人らしさが薄れることもあります。ご希望をうかがったうえで、残す部分と整える部分を相談して決めます。

Q. AIで補正した人物写真の手直しだけ依頼できますか? はい。AIで補正したあとの違和感(肌の質感の不自然さなど)を整える作業のみでも、ご相談いただけます。

Q. 個人でも依頼できますか? はい。ポートレートなど個人利用の写真も対応可能です。用途に応じて最適な仕上げ方をご提案します。